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今から3~5万年前、噴火により磐梯火山の古い山体が大規模に崩れた。崩れた山体の体積は約4立法km(東京ドームおよそ3000杯分)と見積もられている。この崩壊により、大小の岩が水をほとんど含まない状態で流れ下った。これは「翁島岩なだれ」と呼ばれ、現在の磐梯山南西麓に広く流下し、一部は西方の会津盆地にまで達した。大きな岩石ブロックが粉砕されずに高速で流れ下り、それぞれが「流れ山」と呼ばれる丸い丘をたくさん作った。流れ山の直径は500mに達するものがある。
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JR磐梯町駅の南方300~400mに小さな丘があり、その中を線路が通り、線路の両側に大きな岩の塊が見られる。この丘が流れ山のひとつであり、流れ山の内部の岩石を観察することができる。大きな岩は安山岩の塊であり、かつて磐梯火山の山体を作っていた溶岩である。ここでは、安山岩の巨岩からなる岩塊相(がんかいそう)と、岩塊相の間に多種の岩片が混じった泥質の基地相が見られる。また、岩には、ジグソークラックと呼ばれるジグソーパズルのような割れ目が見られる。これらは岩なだれ堆積物に特徴的な形態である。
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