【第六章】氷のアート其の三:樹氷と火山との因果関係について

皆様こんにちは。ボル女です。
今回で氷シリーズも第三弾となりました。もしまだ第一弾、第二弾お読みでない方は、是非そちらも合わせて読んでみてくださいね。

この記事を書いている今も、磐梯山ジオパークの事務所があるここ北塩原村には雪がたーっぷり残っていますが、日は少しずつ長くなり、冬芽もだんだん大きくなり、そして私はくしゃみが止まらず…
着々と春が近づいていることを肌で感じています…。
そこで、私も冬が終わる前にこのシリーズを書き終えなければ!と、少し駆け足で執筆を頑張っております(笑)
恐らく氷シリーズはこれが最後となりますが、そのラストを飾ってくれるのは『樹氷』です!

まず、今回なぜ私が樹氷について書こうと思ったのか。
それは、単に私が樹氷が大好きだからではありません。
『もしかしたら、樹氷と火山には何か関係があるのでは!?』という疑問があったからです。

きっかけは、この記事を書くにあたって興味本位で樹氷の分布場所を検索してみたところから始まりました。
私が見た樹氷の分布図には八甲田山八幡平蔵王、そして西吾妻山…と、聞きなれた山の名前が。

『ん??』私はこれらの名前を聞いてピンと来ました。
『あれ、これらの山って全部活火山ではないか!』と。
そうなると、私の頭の中では樹氷と活火山が何かしらの関係性があるかもしれないという
疑惑というよりむしろ期待に近いような気持ちがこみ上げてきました。
気になったことはすぐに調べないと気がすまない私は、色々と調べてみました。
果たして、樹氷と火山に因果関係はあるのでしょうか…?

まず、『樹氷』と聞いて実際にまだ見たことがない方でも思い浮かべるのは、あの蔵王の樹氷ではないでしょうか。新幹線の広告や宣伝、雑誌などでも取り上げられてますよね。
巨大な白い塊の間をスキー客が滑っていたり、それをゴンドラから見下ろしていたり。そう、あれこそ有名な樹氷です。あの巨大な白い塊が『モンスター』のように見えることから、樹氷は『スノーモンスター』とも呼ばれます。
そのスノーモンスターですが、実はここ磐梯山ジオパークの近くでも見ることができます!

その場所の一つが、先日私が撮影に行ったグランデコスキー場の山頂である西大巓(にしだいてん)、西吾妻山のピークです。

『ボル女さん、もったいぶらないで早く樹氷の写真見せてよ!』と思われた方、すみません。前置きが長くなりましたね。(^^;)

お待たせいたしました!私が撮った西大巓の樹氷をご覧ください♪

この写真は、西大巓のピーク直前で撮ったものです。目下には立派な樹氷が広がっています。
青空と真っ白なスノーモンスターとのコントラストがたまりません!!
この素晴らしい天気のお陰で、一枚目の写真のように小野川湖や秋元湖までも肉眼で見ることができました。周りに広がる雲海も、なんとも幻想的です。

蔵王の樹氷をご存じの方は、この写真を見てきっと思っているはずです。
『あれ、なんか蔵王の樹氷より小さい…?』と。
そうなのです。ここ西大巓で見れる樹氷は、蔵王の樹氷よりサイズが小さく、地元では『リトルモンスター』と呼ばれています。
リトルモンスターの良いところは、このように写真に収めやすいところです(笑)一緒に写真を撮ると、自分と同じ背丈にモンスターが写ります。蔵王の樹氷ではそうはいきません!なんとも愛着の湧くサイズ感です。

今回のテーマは『樹氷と火山との因果関係』ですので、具体的な樹氷の説明は省略いたしますが、もし樹氷の成り立ちなど知りたいという方は、下のリンクをご覧ください。
私が読んだ中で、一番分かりやすかった記事をご紹介いたします。
https://thegate12.com/jp/article/457

この写真を見ていただければ分かるように、手前に写っているダケカンバは落葉樹であるため、樹氷ができません。葉っぱがないので氷が付きにくいのでしょうね。

さて。どうやって樹氷ができるかが分かったところで
そろそろ今回のテーマである『樹氷と火山との因果関係』を深堀りいたします。

まずアオモリトドマツの分布について検索してみましたが、残念ながら特別火山帯に生きる植物というわけではなく、火山じゃない山にも自生しています。
と、こうなってしまうと八方ふさがり…樹氷の分布図に火山ばかり載っていたのは、ただの偶然だったのでしょうか。

そこで藁にも縋るような思いで、日頃からお世話になっている裏磐梯自然保護官事務所の方に聞いて見ました。すると
『樹氷が活火山にだけ育つということはないですが、大事なのは標高山容ですよ』と。

そうなのです。樹氷と活火山にこそ私が期待していた因果関係はありませんでしたが、八甲田山、八幡平、蔵王、そして西吾妻山などの活火山は共通点として、樹氷が育ちやすい標高と山容であることが判明いたしました。特に西斜面がなだらかで、そこにアオモリトドマツが自生していることが樹氷の群生地と化するようです。
なるほど、そういうことだったか!
疑問に対する答えを導きだすことができてとてもスッキリしました。

今回、残念ながら(きっと残念なのは私だけですが笑)樹氷と火山との因果関係はありませんでしたが、自分なりに物事に関連性を見出し、仮説を立ててそれをを掘り下げていくことはとてもワクワクするものがありました。
これからも色んな事を体験しながらたくさん疑問を抱き、それを一つ一つ解決していきたいと思います。
この行動こそがまさにジオパークの楽しみです!
*万が一、この記事を読んで私が知り得なかった樹氷と活火山との関連性などご存知の方いらっしゃいましたら、是非ご教授願います。

最後に、先日撮影で行った西大巓、そして最近行った箕輪山の樹氷も合わせて写真をお載せいたします。
上記のリンクにも書いてあるように、色んな気象条件が合わさった時にしか生まれない樹氷は、まさに大地の恵みであり、自然界の氷のアートです。

来シーズンもまたこのリトルモンスターに再開できることを楽しみに、日々春めいていく磐梯山ジオパークエリアを満喫したいと思います。
(上)西大巓山頂にて。
(上)箕輪山頂から愛でる安達太良山
(上)箕輪山中腹から愛でる磐梯山

 

ボル女