磐梯山ジオパーク > 磐梯山ジオパークの魅力










ジオパークとは、人と大地の関係を、楽しみながら学習できる自然の公園です。地質や地形だけではなく、すばらしい景観や貴重な動植物をはじめ、文化や歴史、さらにはおいしい食べ物や温泉など、大地の上のすべてのものをまるごと楽しもうというもので、大地を楽しく学ぶテーマパークです。



 磐梯火山は、磐梯山(大磐梯)(1816m)、櫛ヶ峰(1636m)、赤埴山(1427m)の三つの峰からなる成層火山です。磐梯火山には噴出したマグマが冷え固まってできた安山岩質の溶岩の他に、火砕流堆積物や火山灰などが厚く積み重なっています。 磐梯火山の活動はおよそ70万年前に始まりました。まず、櫛ヶ峰や赤埴山を含んだ大きな山体が形成されました。数万年前、磐梯火山の南西側が大規模に崩れ、広い面積を覆う岩なだれが発生しました。その後、崩れた場所に、大磐梯やその北側の小磐梯をつくる活動が起こり、1~2万年前には大磐梯を中心とした山容ができ上がりました。さらに、1888(明治21)年の水蒸気爆発による噴火で小磐梯の山体が崩壊し、切り立った崖に岩肌が露出した爆裂火口が生じました。この時に流下した岩なだれによる川のせき止めで、桧原湖や五色沼をはじめとする裏磐梯の湖沼群が誕生しました。

岩なだれ

「岩なだれ」とは大規模かつ高速で起こる山体の崩壊現象です。火砕流や泥流とは異なり、破壊された大小の岩塊が、マグマ物質を含まず、水もほとんど含まない状態で流下します。岩なだれの堆積地域では、起伏のある丘陵(流れ山)が形成されます。「岩窟なだれ」とも言います。





 磐梯山が誕生する前からこの地域にあった地層や岩石、つまり磐梯山の土台石(基盤岩)は、川桁断層より東側にある白亜紀以前(1億年前以前)の花崗岩・変成岩、新第三紀中新世(1300万~1500万年前)の改定火山噴出物など、そして第四紀前半(約150万年前)の火砕流堆積物(背炙山層)からなります。磐梯火山は、第四紀後半(約70万年前)になって、猪苗代盆地上にマグマが噴出してその形成が始まりました。





・磐梯山の植物  磐梯山周辺は緯度的には落葉広葉樹林が発達する場所ですが、標高の違いに応じてコナラ林(510m~750m)・ブナ林(750m~1500m)・アオモリトドマツ林(1500m~2000m)などの森林があります。裏磐梯には明治の噴火に伴う岩なだれ上に、遷移途上のアカマツ林やハンノキ林、貧栄養湖のコケ植物、草原などの群落があります。また、磐梯山周辺には氷河期の遺存植物が見られる高層湿原の雄国沼湿原と赤井谷地があります。

・磐梯山の動物  磐梯山周辺では小型の哺乳類や野鳥・昆虫類など多様な動物の棲息があります。特に野鳥とトンボ類は多く棲息しています。 哺乳類/大型ではツキノワグマ・カモシカ、中型ではニホンザルやノウサギなど、小型ではホンドリスやモモンガなど、合計30種類の棲息が確認されています。 鳥類/高山性の種としてはカヤクグリなど、森林性としてはキビタキなど、水辺ではカワセミなど、草原ではカッコウなど留鳥と夏鳥で約100種類、冬鳥で約60種類が確認されています。



 磐梯山は古来神々が宿る神聖な山として人々に崇められてきました。特に南西山麓には、平安時代初期に南都(奈良)の学僧「徳一」によって「慧日寺」が開かれました。慧日寺は霊峰磐梯山を仰ぎ、会津盆地を眼下に望む丘陵地帯に位置し、薬師如来を本尊とし奥の院に磐梯明神をまつる神仏習合の霊場として栄えた山岳寺院で、東国屈指の大寺院といわれる貴重な歴史的文化遺産です。
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